八百万のカミサマがついている!
著:川副 秀樹/志學社/1,200円(税込)
2008年5月19日発行
二年ぶりに本を出版しました。これまでコツコツと書きため、当HPや一部の情報誌などに発表してきたいくつかの小論に大幅に手を加え、新たに書き加えた全10編からなります。内容は日本人、特に歴史の舞台には登場しない庶民の「心情史」に挑戦したもので、古典落語、見聞録・伝承、記紀・説話集をベースに考察したものです。といいましても前作『スキャンダラスな神々』のようなテーマが特出した論文調のものではなく、あくまでも「誰にでも楽しく読める」よう心がけました。
以下はまえがきよりの抜粋です。
……本書には「熊さん、八っぁん」「狐や天狗」「迷信上の妖獣」「人間臭い女神」「アイドル化する怨霊」「狂気の貴人」「力持ちの女性や遊女」などしか登場しません。それでも丹念に読み込んでいきますと、これらの話の中に庶民の心像風景が浮き出てきます。
自然体験学習やエコロジカルな生き方の重要性は誰もが認識し始めました。ところが、必ずしも史実ではない情報、庶民サイドで語られる歴史や信仰、非科学的な伝承、さらには悪心を持った神々の行為、妄想が創り出した女神、エロチックな庶民習俗、剥き出しの差別観…これらは一部の歴史学者や民俗研究者の専門分野でしかなく、わかりやすく発表される機会はさほど多くありません。私たち日本人は何を恐れ、誰を騙し、何を信じ、何を楽しんでいたのか…これらを知ることもまた、私たちの生活や心を非常に豊かにしてくれるものです。何よりも「自分たちが誰なのか」がおぼろげに見えてきます。……
目次
第壱章 霊獣から届いたメッセージ
第一話 落語「王子の狐」に見る江戸っ子の狐観 狐の住む異界は私たちの暮らしのすぐ傍に
第二話 落語「七度狐」に見る狐の化かしかた 山の尼寺に住む安庵さんの正体と狐の尻尾
第三話 江戸時代に嫌われた憑神「クダ狐」 『想山著聞奇集』『甲子夜話』から探る狐憑きの実態
第四話 化け物転じてアイドルに「ムササビ伝説」 自然観察のスーパースターは火を喰う魔物だった
第弐章 愛と憎しみのキューピッド
第五話 庶民の女神「弁天様」はなぜ脱いだ? 信心か憧れか…男の欲望に応えて夜遊びする女神さま
第六話 落語「天狗裁き」に見る江戸っ子の夢判断 熊五郎が見た夢の顛末記。ムカデと龍神は天敵同士?
第七話 落語「崇徳院」解剖…割れても末に? 怨霊が庶民に愛されるまでの長い道のり
第参章 勇者と怪女の生きざま烈伝
第八話 万葉人の雷観…「雷神」を二度も捕らえた勇者 勇者スガルの素性と雷神の末裔
第九話 怪女烈伝…天皇が主催した「裸女相撲」 古典から検証する強力女性たちと女人禁制の不合理
第十話 落語「反魂香」で高尾太夫と夜毎の逢い引き 代々の高尾太夫と遊女の生きざま
表紙:仲田喜久 題字:石坂修三(私の中学時代同期生)